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update 2008.1.29


■ manual ■

はじめに
 ヤマブはみんなで楽しく登るのがモットーなので、堅苦しいことを言うつもりはないし、自分に合ったスタイルで山に入って行けばいいと思う。カイモノガイドのところでも書いたけれど、極端な話し、スーツに革靴で登ってもいいと思うし、試行錯誤しながら自分に合った方法を見つけて行くのも山の楽しみの一つだと思う。
 ここで書いているのは、一般的に言われていることと僕の経験から学んだことだけれど、こうしないといけないというものではないし、これができないと山に登れないというわけでもない。楽しく安全に山に登るための参考にしながら、自分なりの技術を身につけてくれればいいと思う。

山登りの技術
 山で必要な技術は大まかに2つに分けることができる。命を守るための技術マナーに関する技術である。
 命を守る技術とは「読図」、「パッキング(荷造り)」、「歩き方」、「野外生活術」、「救急医療」などを指す。たとえば「パッキング」と「命を守ること」がどう結びつくかと言うと、持ち物の選び方を含めたパッキングが下手だと、必要以上に体力を消耗し、そのことが原因で体調を崩したり、注意力がおちて怪我をしたりする可能性があるということである。他の項目も全て、できるだけ山での体力の消耗を押え、危険を回避するための技術といえる。「命を守る」などというと大げさに聞こえるが、ようは「いかに楽して山を登るか」ということを考えていけばいいのである。それに一度山に登れば、「いかに楽して山を登るか」は永遠のテーマとなるはずである。
 マナーに関する技術はさらに2つに分けることができる。一つは同行者や他の登山者に迷惑をかけないためのマナーとそのために必要な技術、もう一つは自然環境保護に関するマナーと技術である。
 命を守るための技術も大切だが、マナーについては心掛け次第で誰でもできることが多いので、より意識すべきではないかと思う。

■1.登山計画■
作成ちゅー。
登山計画書('08/10/21改訂/Excel書類)

■2.パッキング技術■
 登山に荷物(装備や食糧)はつきものだ。何も持たずに山へいくことなどまずあり得ない。もし何も持たずに山へ行けば、お腹がすいても我慢しなければならないし、雨が降れば濡れて凍えるだろう、道に迷えば家に帰れなくなるかもしれない。そういうことにならないように、普通は弁当やカッパや地図をもって山にいくのである。起こりえる話しとして、カッパを持って行かなかった時に雨に降られて体温を奪われれば、比良山でも遭難して死んでしまう可能性は十分にある。
 とはいえ、心配性全開であれもこれもと荷物が持っていくと、今度はその荷物の重さで体力を消耗してしまうことになる。登山の装備は命を守ったり山で快適に過ごすために持って行くのだが、逆にその重さが体力を奪っていくことも忘れてはならない。体力を失わないための装備を増やせば増やすほどに、その重量が体力を奪っていくのである。装備の選択の基本は装備の機能と重量のバランスをいかにとるかに尽きると思う。

2-1.装備の重量について
 とにかく荷物は軽く小さくが基本。ますは「おきて」のページなどを参考にしながらとりあえず自分が必要だと思う物をそろえる。それから我慢すればなんとかなりそうな物を外していく。それが自分の荷物の最少重量。(ここで食糧や水も忘れずに一度用意してみる。共同装備を担当している人はそのことも忘れずに。その場になければそれ相当の重さのものを入れてみる)。それを一回背負ってみて、計画している山行を歩く自分を想像してみる。最少重量の荷物で無理そうだと感じたなら、そこで参加はあきらめるべき。そこで大丈夫そうであれば自分の能力に合わせて装備を追加していく。
 普通、夏山の1-2泊の縦走なら最少重量が小屋泊なら5-7kg、テント泊で10-12kgぐらいを目標にすればいいと思う。それがいざパッキングを始めると結局小屋で8-10kg、テント泊なら13-15kgぐらいになってしまう。これが冬山や岩登りになると各々プラス約3-6kgとなる。泊数が増えればその分の着替えと食糧が増えていく。衣類は臭くていいなら全く増えないが、そういう人は一人でテントに泊まって欲しいものである。
 荷物を減らすコツは一つの道具で用途を兼用することである。例えばカッパは、雨を防ぐというカッパの本来の役割だけでなく、防寒具にも使える。また寝る時には、カッパだけでなく持ってる衣服を全て身にまとってシュラフに入り、さらにザックをはいて寝ることにすれば、シュラフの大きさを小さくすることができる。
 山では荷物を減らすために着替えも最小限しかもっていかない人が多い。2-3泊の縦走ぐらいなら着たきり雀なんて人もザラ。また、ごはんもずっとカローリーメイトかカップラーメンだけなんて人もいる。「そんなの耐えられない!」とか「山でも毎回違うメニューがいい!」なんていう人は、重たくなる分を体力でカバーするしかない。
 ヤマブは弱小のくせに、しんどいの嫌、臭いの嫌、旨いもの食べたい、酒飲みたいなど我が儘が多いので荷物問題は永遠の課題かも・・・。

2-2.パッキングについて
 衣類や小物は用途別に袋に小分けにしてからザックに入れる。ザック内の荷物はいつでもどこでもすぐに出し入れできるようにしておくことが行動時間の短縮につながるからである。この時使う袋はスーパーのビニール袋でも構わないが、防水性の口がしっかりしまるものがよい。登山用品店にはスタッフバッグというものが大小様々売られている。なぜ防水性が必要かと言うと、どしゃぶりの雨の中ではザックカバーをしていても、ザックと背中の間に入った雨がザックの背中側から入ってきて、ザックの中が濡れたりするからである。それに、沢筋を歩いている時にもしかしたら川に落ちることもあるかもしれない。最近は防水のザックや背中への雨の侵入を防ぐザックカバーなどもある。
 次にザックへの詰め込み方だが、どんな解説書にもたいてい「基本は重いものが上で軽いものが下」と書いてある。しかし、実はそれよりも、よく使うものやすぐ出せないといけないものを上にしていくことのほうが重要である。重量バランスより、まずは使用頻度の高い物を上にするのが基本である。普通は下からシュラフ、着替え、テント/食糧、コンロ、食器、水/弁当、防寒着、カッパ、行動食という感じではないかと思う。その状態から、トップヘビーかつ背中に重い物が密着するように調整する。この時注意しないといけないのは、いくらトップヘビーといってもあまり重いものをショルダーストラップより上にするとザックが振られて逆にしんどい。それと水などの液体はボトルに半分ぐらいしか入っていないとチャプンチャプンと振り子のように動いて結構しんどいので、ボトルを縦にして背中の近くに入れたほうがよい。ザックの蓋に横置きなどしたら揺れてとてもしんどい。

2-3.背負い方について
 ザックはまずショルダーベルトをある程度のばした状態で背負い、腰の部分にザックをのせて、ウエストベルトが腰骨を包み込むようにがっちり締める。この時ウエストベルトが完全に腰骨の上に乗ってしまうのは間違い。次に、腰だけで背負う状態にしてから少しずつショルダーベルトを締めていき、ザックが背中へ密着するようにしつつ、肩へ重量を分散していく。好みにもよるが、基本は腰で背負うようにする。最近のザックは肩より腰で背負うように作られているみたいだ。重量が増えるにしたがって腰への配分が多くなるようにする(というかそうなる)。
 最近は身長にあわせて肩の位置を調整できたり、同じザックでも身長によって数サイズ揃えてものもある。自分にあったザックを買って、きちんと調整して背負わないと同じ10kgでも全く重さの感じ方、疲労感が違うので気をつけること。

■3.歩行技術■
作成ちゅー。

■4.読図技術■
作成ちゅー。

■5.生活技術■
5-1.炊事について
・使い終わったコッフェルや食器は基本的にトイレットペーパー等を使って拭き取るようにする。山において水は貴重なことが多い上、水を使うとわずかではあっても残飯を山に残す事になり、山に負荷をかけてしまうため(高山ではなかなかゴミが分解されない)。もし水を使う場合は汚水をザルでこして残飯を極力出さないようにする。

5-2.ゴミについて
・山でゴミを出さないのは常識であるが、「自然に帰る物ならいい」と思っている人も多いのではないか。しかし、森林限界を超えるような場所ではバクテリアの活動も極端に少なくなっているため、生ゴミなども半永久的にその場に残ってしまうので種類に関わらず山で出たゴミは必ず全て持ち帰るようにする。

5-3.トイレについて
・ゴミと同じように、し尿も森林限界を超えると分解されないので、山小屋のトイレを使うようにする。小便はすぐ蒸発するし、感染症などの病気でもない限り安全(尿と汗の成分はほとんど同じらしい)なのでそれほど気にすることはないが、大便は風化するまでかなり時間がかかる上水源を汚染するので、やむを得ず大便をしないと行けない場合は極力水源から離れて行い、使った紙はゴミとして持ち帰るようにする。

■6.ビバーク・救急技術■
作成ちゅー。

■7.マナー■
作成ちゅー。

■8.その他■
8-1.カッパ(ゴアテックスなどの防水透湿素材を使用したもの)のメンテナンス
透湿性について
 ゴアテックスなどの防水透湿素材は水は通さないけど水蒸気は通す小さな孔が無数に開いている。この孔が汗に含まれる油や汚れなどによって詰まってしまうと、水蒸気が通れなくなりカッパの内面が体から出る水蒸気で濡れてしまう(ちなみに、水蒸気をいくらでも通せるわけではないので、汗かきの人は不利かも)。
 そのため定期的な洗濯が必要なのだが、洗濯すると撥水性も落ちるので、そのタイミングは結構悩ましい。
 ゴアテックスなどの防水透湿素材を普通の洗剤で洗うのはあまりよくないらしく、専用の洗剤か中性洗剤、もしくはぬるま湯で洗うことが推奨されているが、パタゴニアのHPには「通常の洗剤でよい」と言う記述があるので、僕は普通に洗っている。その後、撥水加工を行う場合は、よくすすぐことが肝心。
 ナイロン製品は紫外線に弱いので陰干しするほうがよい。
撥水性について
 ゴアテックスに透湿性があるといっても、表面の撥水性がなくなり水を弾かなくなれば水の膜が出来てしまい、内部の水蒸気は出て行くことが出来なくなり、内面が体から出る水蒸気で濡れてしまう。
撥水性の回復には2つ(細かく分けると3つ)の方法がある。
一つ目は撥水スプレー等を表面に塗布する方法。これは防水透湿素材専用のものを使わないと水蒸気を通しにくくなるので注意が必要。
二つ目は水を弾くために表面に施してある起毛加工を回復させる方法。これには表面の布地の種類によってさらに2つの方法がある。
表面の布地がつるつるのビニールのようなタイプは、乾燥機にかけるか、低温でアイロンをかけるとよい。
表面の布地が布のようにざらざらしたタイプは、アイロンをかけると逆に毛が寝てしまうので、ドライヤーで熱風をあてるか、乾燥機にかけてやるとよい。

8-2.ダウン製品のメンテナンス
保管について 
 ダウンのロフト(膨らみ)を失わないように、スタッフバッグから出して、なるべく広げた状態で保管する。
洗濯について 
 使う度に洗う必要はないが、ある程度使用すると汗でダウンのロフトが失われて保温性が低下するので、たまに洗濯したほうがよい。
 洗濯する場合は、NIK WAX LOFT DOWN WASH等のダウンウエア専用の洗剤を使用したほうがよい。
 ダウンの場合、できるなら乾燥機で乾燥させるほうがよく。その場合のコツは、きれいなテニスボール数個、またはきれいなスニーカー1足を一緒に乾燥機に入れ、たたきながら乾燥させるような状態を作り出すことで、ボールやスニーカーがウエアをたたくことにより膨らみが戻り、ふかふかのロフトに戻る。乾燥機がない場合は、平干しで乾燥させる。